新型コロナウイルス奮闘記(令和4年5月31日掲載)

新型コロナウイルス奮闘記

コロナ禍におけるある日の病棟風景

病棟看護師

 

※新型コロナウイルス陽性者受け入れにより、他病棟の取り扱い疾患構成も変えざるをえませんでした。

 夕方5時過ぎ、一人の患者様がお亡くなりになりました。元々、持病があり、月に1回程度診察を受けに通院されていました。しかし、持病の状態が悪くなり、自宅で意識が低下し救急外来に搬送されました。人工呼吸器を装着する必要があったため、直ちに医師が電話でご家族様に連絡し、一命を取り止められ病棟へ入院となりました。主治医により、到着されたご家族のご意向を再度確認することとなりました。決断は「看取り」。
 その後、医師による死亡確認がされました。医師が退席した後、奥様は「息してないの?お父さん、お父さん」と呼びかけていました。「お迎えが来られたので旅立たれたんですよ」と声をかける看護師の姿。時の流れに任せてゆっくりと家族様の思いに寄り添い、傍に居たいという看護師の思いに触れた瞬間でした。
 その直後、手術室から、手術が終わったと電話が入ります。手術直後の患者様は、一刻も早く集中治療室に移送しなくてはなりません。慌ただしく準備し手術室に向かいます。そして、集中治療室に戻った直後、2件目の手術終了の連絡が入りました。すでに、夕食の配膳の時間です。看護師間で声を掛け合い、チームでカバーし手術室に向かう準備をする姿。時間と闘いながら、患者さまの命を守る使命感に触れた瞬間です。
 私たちの病棟は、超急性期から終末期の患者様が療養生活を送っています。コロナ禍であっても患者様、ご家族様の思いに寄り添い、患者様の傍らで関わりたいという思い。同時に緊急の入院や手術など、迅速な対応を優先させなくてはならない思い。慌ただしさの中でジレンマが生まれます。様々な思いや葛藤を抱きつつ、奮闘の毎日です。命は全て同じだから。