令和5年度 名張市立 病院情報の公表

病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

医療の質指標

  1. リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率
  2. 血液培養2セット実施率
  3. 広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 248 42 22 38 63 175 308 904 879 421
令和5年度の退院患者数を10歳刻みで年齢階級別に集計したものです。
当院は、地域医療支援病院として幅広い年齢層への医療提供体制を有しており、令和5年度の全退院患者数は3,100人でした。70歳以上の方が全体の約71.1%(前年比+1.3%)と多くの割合を占めています。一方、20代~40代の生産年齢層の人口が名張市全体の約30.3%となっており、「産み育てるにやさしいまち」とう市政から、10歳以下の人口が約6.0%を占めるといったまちになっています。
当院は24時間365日の小児救急医療体制を整えており、10歳未満の小児の患者さんの数が多いことが特徴です。
年齢階級別の主な疾患は10歳未満は肺炎、脱水症、扁桃炎、喘息があり、10代~30代は骨折や外傷などの整形疾患や虫垂炎などの消化器疾患を中心に様々な疾患があります。40代~50代では狭心症や心房細動が上位となっています。60代~70代では狭心症や心不全に加え、白内障の患者さんが増えています。80歳以上になると、誤嚥性肺炎、心不全、大腿骨骨折が上位となっています。
(※以下、全ての表において、DPCデータが存在しない患者さんは除外されています。)
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術 手術・処置等2 なし 154 4.32 4.57 0.00 71.31
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1 なし、1,2あり 手術・処置等2 なし 95 4.81 4.26 1.05 75.15
050050xx9910x0 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 1あり 手術・処置等2 なし 他の病院・診療所の病棟からの転院以外 75 3.41 3.05 8.00 73.77
050130xx9900x0 心不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 他の病院・診療所の病棟からの転院以外 47 16.57 17.38 2.13 87.98
050050xx9920x0 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 手術・処置等1 2あり 手術・処置等2 なし 他の病院・診療所の病棟からの転院以外 41 3.41 3.25 0.00 72.46
循環器内科では、虚血性心疾患(狭心症・心筋梗塞)、不整脈、心不全、閉塞性動脈硬化症、房室ブロックに対する「ペースメーカー移植・交換術」などの循環器疾患の治療を行っており、その中でも、虚血性心疾患に対する治療が最も多く、循環器内科の約1/3を占めています。カテーテルと呼ばれる管を血管内に挿入し、心臓の働きや冠動脈の狭窄状態を検査したり、狭窄部分や閉塞部分を拡張させる治療(ステント治療)を行っています。また、治療後のフォローとして数ヶ月おきに検査を行い、その後の経過を確認しています。その他、不整脈に対する「経皮的カテーテル心筋焼灼術(アブレーション)」を行っています。
総合診療科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 手術・処置等2 なし 96 20.69 20.60 2.08 85.25
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし 61 16.80 13.52 3.28 83.03
050130xx9900x0 心不全 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 他の病院・診療所の病棟からの転院以外 27 19.70 17.38 0.00 89.52
0400800499x01x 肺炎等(市中肺炎以外かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 あり 18 19.22 21.51 0.00 88.61
100380xxxxxxxx 体液量減少症 17 20.88 10.60 5.88 82.71
総合診療科では、誤嚥性肺炎、尿路感染症、睡眠時無呼吸症候群、めまい症など幅広い内科系疾患の治療を行っています。病気などで通院が困難な方、自宅で医療ケアが必要な方、終末期の療養生活を自宅で過ごしたい方などに対して、患者さんのご自宅に訪問し、診察・薬の処方だけでなく、療養上の相談や指導等を行っており、通院の負担軽減や自宅でも安心した療養生活を送っていただくための体制をとっています。また、急性期治療が経過し、病状の安定している患者さんで、在宅復帰に向けて、もう少しリハビリや経過観察が必要であったり、在宅や福祉施設での療養に向けて準備(介護調整等)が必要である場合には地域包括ケア病棟で入院していただくことができます。医師や看護師の他にリハビリスタッフやソーシャルワーカー等が協力して、ご家族やケアマネージャーさん達と一緒に患者さんの退院支援や退院後のケアについてサポートしています。
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060190xx99x0xx 虚血性腸炎 手術なし 手術・処置等2 なし 20 10.35 8.55 0.00 72.10
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 17 12.00 8.75 5.88 74.24
060140xx97x0xx 胃十二指腸潰瘍、胃憩室症、幽門狭窄(穿孔を伴わないもの) その他の手術あり 手術・処置等2 なし 16 12.88 10.92 0.00 67.75
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 15 9.60 8.95 20.00 74.33
060130xx0200xx 食道、胃、十二指腸、他腸の炎症(その他良性疾患) 内視鏡的消化管止血術等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 14 12.71 8.71 0.00 77.00
消化器内科では、食道・胃・小腸・大腸の消化器疾患や胆・肝・膵の疾患などの治療を行っており、大腸ポリープや総胆管結石になどに対する内視鏡的治療、出血性胃潰瘍や消化管出血に対する「消化管止血術」なども行っています。内視鏡治療は、身体への負担が少なく、短期間の入院で治療を受けることができます。
外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060150xx03xxxx 虫垂炎 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの等 19 5.74 5.29 0.00 43.37
060330xx02xxxx 胆嚢疾患(胆嚢結石など) 腹腔鏡下胆嚢摘出術等 16 6.56 5.98 0.00 64.81
060035xx010x0x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍 結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 手術・処置等1 なし 定義副傷病 なし 12 18.08 15.12 0.00 80.08
060020xx02xxxx 胃の悪性腫瘍 胃切除術 悪性腫瘍手術等 11 21.18 18.01 0.00 74.18
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア(15歳以上) ヘルニア手術 鼠径ヘルニア等 10 6.70 4.55 0.00 78.30
外科では、大腸ポリープ、鼠径ヘルニア、虫垂炎、胆嚢結石などの消化器疾患で手術適応となる症例の治療を行っています。内視鏡手術、腹腔鏡下手術などを多く行っており、その他に「ヘルニア手術」、「虫垂切除術」、「胆嚢摘出術」などを行っています。また、消化器内科と院内での連携を図るために消化器センターを設置し、患者さんに最適な医療を提供しています。
がん治療として、大腸癌などの消化器の悪性腫瘍に対して、切除術や化学療法等の治療を行い、退院後も地域の医療機関と連携を図りながら、通院による化学療法の実施などの継続した治療を行っています。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
0400801199x00x 肺炎等(1歳以上15歳未満) 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 44 5.77 5.62 0.00 2.55
040070xxxxx0xx インフルエンザ、ウイルス性肺炎 手術・処置等2 なし 35 4.80 5.86 2.86 2.46
040090xxxxxxxx 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 23 5.04 5.96 4.35 1.65
040100xxxxx00x 喘息 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 21 5.33 6.37 0.00 3.33
180030xxxxxx0x その他の感染症(真菌を除く。) 定義副傷病 なし 17 5.24 8.61 0.00 1.59
小児科の上位疾患には、気管支炎、喘息、肺炎などの呼吸器疾患やてんかん、脱水症といった疾患があります。
その他に急性腸炎、川崎病、アレルギー疾患、熱性けいれんなど、多種多様な症例に対する診療を行っています。
当院は、小児救急の受入医療機関として24時間365日、入院可能な体制を整えており、名張市の小児救急を担っています。また、「名張市子供発達支援センター」が行う発達障害児支援を、医療面からサポートする小児発達支援外来を行っています。
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 手術・処置等2 なし 32 26.22 18.65 3.13 77.34
0400801499x013 肺炎等(市中肺炎かつ75歳以上) 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 あり A-DROP スコア3 16 16.13 19.88 0.00 83.69
040120xx99000x 慢性閉塞性肺疾患 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 15 6.33 13.70 0.00 72.40
040150xx99x0xx 肺・縦隔の感染、膿瘍形成 手術なし 手術・処置等2 なし 12 19.00 22.55 33.33 68.17
040170xxxxxx0x 抗酸菌関連疾患(肺結核以外) 定義副傷病 なし 12 2.00 8.31 0.00 72.58
呼吸器内科では間質性肺肺炎・細菌性肺炎や慢性閉塞性肺疾患(COPD)、膿胸、肺非結核性抗酸菌症が上位疾患として、挙げられ、気管支鏡等による検査や人工呼吸器等による治療のほか、抗菌薬等薬剤を用いた呼吸療法、肺がんに対する化学療法も行っています。
また、DPCの対象となっていないため、表には載っていませんが、睡眠時無呼吸症候群の検査も多く行っています。睡眠時無呼吸症候群とは眠っている間に呼吸が止まる状態が繰り返される病気のことです。1泊2日で脳波、眼球運動、おとがい筋筋電図などを記録する「終夜睡眠ポリグラフィー」を行い、対象の方にはCPAP療法も行っております。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工骨頭挿入術 肩、股等 78 27.90 25.50 44.87 83.00
160690xx99xxxx 胸椎、腰椎以下骨折損傷(胸・腰髄損傷を含む。) 手術なし 23 22.96 19.34 21.74 77.09
160800xx99xxx0 股関節・大腿近位の骨折 手術なし 他の病院・診療所の病棟からの転院以外 14 10.64 14.07 71.43 84.36
160720xx01xxxx 肩関節周辺の骨折・脱臼 骨折観血的手術 肩甲骨、上腕、大腿等 10 13.20 14.00 0.00 72.90
160850xx01xxxx 足関節・足部の骨折・脱臼 骨折観血的手術 鎖骨、膝蓋骨、手(舟状骨を除く。)、足、指(手、足)その他等 10 24.00 18.32 0.00 55.10
整形外科では、高齢者の大腿近位部(股関節)の骨折が最も多く、胸椎や腰椎などの骨折、骨盤の骨折など様々な部位に関する骨折に対応しています。
大腿骨近位部の骨折に対しては、「人口骨頭挿入術」という人口骨を用いた高度な手術を実施しております。手術後には、日常生活自立度の向上を目指し、早期よりリハビリを開始するなど、1日でも早く自宅等へお帰りいただけるようスタッフ全員で対応しています。また、地域包括ケア病棟でのリハビリ継続や集中的なリハビリ実施が可能となる回復期リハビリテーション病院への転院なども患者さんと相談させていただきながら行っています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010050xx02x00x 非外傷性硬膜下血腫 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 24 12.79 11.87 4.17 82.38
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他の手術あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 16 6.19 9.88 6.25 78.13
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 15 14.73 8.38 6.67 72.27
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外)(JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし 15 18.73 19.09 20.00 76.40
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満) 手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 発症前Rankin Scale 0、1又は2 14 16.29 15.70 28.57 72.86
市内唯一の脳神経外科として、脳振盪、急性・慢性硬膜下血腫、脳卒中(脳梗塞・脳出血・くも膜下出血)、頭部外傷などの脳神経外科疾患に対する治療を幅広く行っています。
患者数では、高齢者の方に多い疾患で転倒による頭部打撲・挫創や交通事故などで緊急性のある頭蓋・頭蓋内損傷や軽微な頭部外傷後、1~2ヶ月かけて、硬膜とくも膜の間に血液が貯留する慢性硬膜下血腫が多くなっています。手術症例では、慢性硬膜下血腫に対する「慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術」や水頭症に対する「シャント手術」や頭部外傷の縫合処置などを行っています。脳血管リハビリテーションや薬物療法などを通じて、早期の在宅復帰を目指しています。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 - - - 22 - - 1 8
大腸癌 - - 18 - - 17 1 8
乳癌 - 1 8
肺癌 - - 17 - 1 8
肝癌 - - - - 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
※5大癌とは日本で症例数が多い胃がん、大腸がん、乳がん、肺がん、肝がんのことをいいます。
※UICC病期分類とは、がんの進行度を判定する基準として国際対がん連合によって定められた分類方法で、①原発巣の大きさと進展度、②所属リンパ節への転移状況、③遠隔転移の有無によって各がんをⅠ期(早期)~Ⅳ期(末期)の4病期(ステージ)に分類するものです。
※初発とは、当院において当該腫瘍の診断、初回治療を実施した場合を指します。
※再発とは、当院、他施設を問わず初回治療完了後に当院で患者さんを診察した場合や、治療がん寛解後に局所再発、再燃または新たに遠隔転移をきたした場合を指します。
当院では、5大癌の症状で入院された患者さんのうち、胃がんが約30.8%、大腸がんが約42.9%、乳がんが約0.8%、肺がんが約21.1%、肝がんが約4.5%(乳がん、肝がんは10件未満のため表には記載されません)となっています。
胃がん、大腸がん、肝がんについては、消化器センターが院内連携を行い、切除術や化学療法等の治療を患者さんに応じて行っています。肺がんについては、地域の医療機関で肺に異常所見が見つかった患者さんの検査を行ったり、専門的な治療が必要な患者さんには呼吸器内科を有する医療機関へ紹介を行ったりしています。
緩和ケアとして、地域包括ケア病棟で終末期の患者さんやそのご家族に対し、痛みなどの症状を緩和するだけでなく、精神的ケアや社会的ケアを行い、人生の残り時間を自分らしく過ごし、充実した最期を迎えられるようサポートしています。
UICC病気分類が不明に分類されている症例については、治療前の検査入院に該当する患者さんが多く、入院中には検査結果が出ない場合があり、当該入院中の情報のみでは病気分類できないことなどが理由として挙げられます。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 - - -
中等症 69 15.78 76.36
重症 36 20.47 84.08
超重症 11 25.82 84.73
不明 - - -
市中肺炎とは、病院外で日常生活をしていた人に発症する肺炎で、成人市中肺炎診療ガイドライン(日本呼吸器学会)では、重症度0が軽症、1および2が中等症、3が重症、4および5が超重症と定義されています。
軽症の場合は外来治療が基本ですが、患者さんの状態により入院治療となる場合もあります。中等症以上では患者さんの平均年齢が80歳近く、平均在院日数は長くなる傾向にあります。これは、高齢の患者さんほど免疫力が低下して肺炎が重症化しやすく、背景に他の疾患を抱えている場合も多いことが原因の一つと考えられます。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 87 25.43 78.41 34.34
その他 12 32.33 75.00 1.01
脳梗塞の患者さんについては、症状の進行防止や再発予防のために、脳梗塞の原因に応じた脳保護剤や抗血栓剤の投与を行っています。運動麻痺や言語障害などがある場合は早期からリハビリテーションを行い、身体機能の維持向上に努めています。また、脳梗塞発症後4.5時間以内の患者さんには、t‐PA(アルテプラーゼ)という血栓を融解させ、途絶した脳血流を再開させることが可能で脳梗塞に有効な薬剤の投与を積極的に行っています。
発症日については、3日以内の早期に入院される患者さんが約88%と多数を占めています。このような急性期の疾患に脳外科的処置が迅速に行うことができる体制を整えています。また、急性期治療後は約61%の患者さんが在宅や介護施設へ復帰しており、残りの約39%の患者さんがリハビリ病院等へ転院しています。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術 心房中隔穿刺又は心外膜アプローチを伴うもの 等 138 1.58 2.57 0.72 72.78
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術 その他のもの 等 70 1.91 4.21 0.00 75.73
K5491 経皮的冠動脈ステント留置術 急性心筋梗塞に対するもの 等 27 0.00 14.00 3.70 71.41
K5972 ペースメーカー移植術 経静脈電極の場合 25 1.96 9.28 4.00 79.44
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 24 2.42 6.79 8.33 75.38
循環器内科で多い手術は、「経皮的カテーテル心筋焼灼術(アブレーション)」です。心房細動や頻拍性不整脈(上室性頻拍症、心房粗動、心室頻拍症)に対し、血管に電極カテーテルを挿入し、不整脈の発生源を熱することで焼灼し治療する手術です。
次に「経皮的冠動脈ステント留置術(PCI)」です。狭心症や急性心筋梗塞などによる冠動脈狭窄に対し、血管にカテーテルを挿入し、閉塞部分をステントという網目状の金属製の筒などを用いて拡張し治療する手術です。
その他に、脈が遅くなる徐脈性不整脈に対する「ペースメーカー移植術」や足の血管の動脈硬化により、血管が狭窄したり、閉塞する下肢閉塞性動脈硬化症に対する「血管拡張術」や肺塞栓症の塞栓予防のために腹部の大きな静脈にフィルターを留置し、下肢から移動する血栓が肺へ行かないようにする「下大静脈フィルター留置術」なども行っています。
外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7193 結腸切除術(全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術) 等 21 2.29 19.90 0.00 78.10
K7181 虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの 等 20 0.40 5.15 0.00 44.85
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 18 1.61 4.44 0.00 65.56
K6871 乳頭括約筋切開術 等 17 2.29 18.06 0.00 71.76
K681 胆嚢外瘻造設術 12 1.17 23.08 0.00 73.42
外科で多い手術は、大腸ポリープなどに対して行われる「内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(EMR)」です。内視鏡にて、ポリープの形状や正常粘膜との境界等を観察し、切除対象のポリープに輪状のワイヤーをかけ、徐々にワイヤーを締めていき、弱い電流を流し切除します。多くの患者さんは1泊2日での予定入院で行われています。
次に大腸がんに対して行われる「結腸切除術」です。がんの位置より約10cm離して腸管を切除するとともに、腫瘍を栄養している血管に沿って認めるリンパ節も同時に切除する手術です。リンパ節を切除する範囲はがんの進行度により変わります。
その他に、虫垂炎などの疾患に対して、右下腹部を切開し、切除を行う「虫垂切除術」や胆嚢動脈と胆嚢間をクリップで切離し、胆嚢を肝臓から剥がして摘出する「腹腔鏡下胆嚢摘出術」や内視鏡を用いて胆管の出口にあたる乳頭部に電気メスを挿入し、高周波を用いて切開し、広げる方法で胆汁が流れ出るようにする「乳頭括約筋切開術」を行っています。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(大腿) 等 63 1.78 22.05 30.16 80.94
K0811 人工骨頭挿入術(股) 等 30 3.03 25.70 60.00 83.40
K083 鋼線等による直達牽引 等 10 0.30 41.20 50.00 79.10
K0463 骨折観血的手術 鎖骨、膝蓋骨、手(舟状骨を除く。)、足、指(手、足)その他 等 10 0.10 10.50 0.00 64.30
K0462 骨折観血的手術(下腿) 等 - - - - -
整形外科で多い手術は、肩甲骨、上腕、大腿及び前腕、下腿、手指などの骨折に対する「骨折観血的手術」です。また、骨折観血的手術でねじ、プレート、髄内釘などで固定を行った後、骨癒合が完成してから抜去を行う人工挿入物の除去術も多く行っています。
「人工骨頭挿入術」は高齢者の大腿骨骨折の治療に行われることが多く、肩関節の上腕骨頭や股関節の大腿骨頭が壊れて骨頭を保存して治療することが難しい場合に、金属製の骨頭と入れ替えて関節機能を取り戻す手術です。また、骨頭側だけでなく、関節窩の側にも破壊や変形などがあって、動きが悪い等の障害がある時には骨頭側と関節窩側の両方を入れ替えて、関節機能の再建を図る「人工関節置換術」を行います。
その他に、「骨折経皮的鋼線刺入固定術」や「手根管開放手術」も行っています。「骨折経皮的鋼線刺入固定術」とは、徒手整復(外からの力で骨折部のずれを戻す方法)を行った後、その位置での保持が難しく不安定で、ギプスなどの固定だけでは適当ではない場合に、鋼線を皮膚の上から刺して、骨折部を固定する手術です。「手根管開放術」とは、手根管症候群という手のひらの付け根部分にある骨と靭帯に囲まれた空間(手根管)の内圧が高まると、正中神経が障害され、第1~3指のしびれや母指の機能障害などを起こす疾患に対して行われ、屈筋支帯という手の靭帯の切離を行う手術です。
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6871 乳頭括約筋切開術 等 38 1.82 15.37 10.53 75.68
K654 消化器止血術 等 29 0.38 12.69 0.00 72.93
K722 下部消化管止血術 等 14 0.79 11.00 0.00 78.50
K6535 胃・十二指腸EMR 等 - - - - -
K682-3 内視鏡的経鼻胆管ドレナージ術(ENBD) - - - - -
消化器内科で多い手術は、大腸ポリープに対する「内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(EMR)」です。内視鏡にて、ポリープの形状や正常粘膜との境界等を観察し、切除対象のポリープに輪状のワイヤーをかけ、徐々にワイヤーを締めていき、弱い電流を流し切除します。多くの患者さんは1泊2日での予定入院で行われています。
次に「内視鏡的乳頭切開術」です。総胆管結石などの膵胆道系疾患の治療に行われます。内視鏡的逆行性膵管胆管造影を行い、総胆管の方向や結石を確認した後、切開用電気メスを総胆管内に挿入して、十二指腸乳頭を切開して広げることにより、胆汁の流出を促す処置です。また、乳頭切開術を施行した乳頭から、内瘻チューブを胆管内に留置する「内視鏡的胆道ステント留置術」も行われています。
その他に、消化管出血などに行われる「内視鏡的消化管止血術」や経皮的に肝内胆管を穿刺してカテーテルを挿入し、胆汁外瘻とする「胆管外瘻造設術」なども行っています。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 24 0.04 11.79 4.17 82.79
K178-4 経皮的脳血栓回収術 等 - - - - -
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 等 - - - - -
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) 等 - - - - -
K1643 頭蓋内血腫除去術(開頭して行うもの) 脳内のもの 等 - - - - -
脳神経外科で最も多い手術は、「慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術」で、慢性硬膜下血腫に対して極めて有効で予後も非常に良いとされています。慢性硬膜下血腫は、硬膜とくも膜との間に貯留した血液が脳を圧迫しています。この貯留した血液や血腫を除去・洗浄し、血腫腔内にドレーンを挿入する手術です。また、急性の硬膜下血腫に対する「頭蓋内血腫除去術」も行っています。急性硬膜下血腫とは、頭部外傷によって脳の表面を走る動脈が破綻する硬膜下血腫で、開頭して血腫除去を行います。
その他に、水頭症に対して貯留した脳髄液が体内の別の場所へ流れるような道を作る「シャント手術」や動脈瘤破裂によるくも膜下出血などに対して脳動脈瘤の根元を専用のクリップで挟み、動脈瘤から出血しないようにする「脳動脈瘤頸部クリッピング」、「動脈形成術」などを行っています。
術後には、リハビリテーションの早期開始やリハビリテーション病院への転院などを行い、早期の在宅復帰に努めています。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 17 0.55
異なる 11 0.35
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 - -
異なる - -
入院の原因となった疾患と医療資源を最も投入した疾患が「同一」であるか、「異なるか」かで区分をしています。
播種性血管内凝固症候群(DIC)は血液の凝固に異常をきたす疾患で、重篤な感染症、悪性腫瘍、白血病などに伴って起こる場合があり、早期診断と早期治療が重要です。原因疾患の治療を優先し、併せてDICの治療を行います。
敗血症は感染症を基礎疾患として血液中に病原体が入り込み、重篤な全身状態を引き起こす疾患です。疾患の背景には、がんや糖尿病、肝臓・腎臓疾患、膠原病などがある場合と、高齢者や術後といった患者さんの状態に影響して発症することがあり、当院の平均年齢も約70.3歳と高齢の患者さんが多くなっています。治療としては各種培養検査を行い、原因菌と原発感染巣を確認します。起因菌が判明した場合、その菌に対して適切な抗生剤を充分量投与します。
手術・処置等の合併症で最も多いのは、人工股関節脱臼です。人工股関節は、許容範囲を超えた無理な姿勢を取ると、脱臼するおそれがあり、脱臼した場合には、脊椎麻酔を行い、足を引っ張って元に戻す徒手整復を行います。透析治療に必要なシャントが血栓などで閉塞して使用できなくなり、シャントの拡張や血栓の除去が必要になる場合や、ペースメーカーの電池消耗によりペースメーカーの交換が必要な場合などもあります。
当院では、抗菌薬適正使用支援チーム(AST)を設置しており、抗菌薬を使用する際に最大限の治療効果が得られるよう、また薬剤耐性微生物の発生対策を行ったりと患者さんへの抗菌薬の使用を適切に管理・支援をしています。
リスクレベルが「中」以上の手術を施行した患者の肺血栓塞栓症の予防対策の実施率ファイルをダウンロード
肺血栓塞栓症発症のリスクレベルが
「中」以上の手術を施行した
退院患者数(分母)
分母のうち、肺血栓塞栓症の
予防対策が実施された患者数(分子)
リスクレベルが「中」以上の手術を
施行した患者の肺血栓塞栓症の
予防対策の実施率
245 227 92.65
※リスクレベル
 「最高」:静脈血栓塞栓症の既往のある方、血栓性要因のある大手術を行った方
 「高」:40歳以上でがんの大手術を行った方
 「中」:40歳以上又は危険因子ありの大手術を行った方、60歳以上又は危険因子ありの非大手術を行った方
      *危険因子・・うっ血性心不全、ギプスによる下肢固定等
肺血栓塞栓症とは肺の血管(肺動脈)に血の固まり(血栓)が詰まって、突然の呼吸困難や胸痛、失神発作、時には心停止をきたす危険な病気です。
予防対策として、弾性ストッキングや間歇的空気圧迫装置を用いて計画的な管理を行っています。
血液培養2セット実施率ファイルをダウンロード
血液培養オーダー日数(分母) 血液培養オーダーが1日に
2件以上ある日数(分子)
血液培養2セット実施率
1420 867 61.06
血液培養を2セット実施することによって、確実に菌を検出することができたり、コンタミネーション(汚染)の判定をすることができます。
血液中の菌量は1~10CFU/mLと非常に少数であるため、血液採取量が増えることにより、感度が向上します。
消毒不足等により、皮膚常在菌が原因となることが多く、検出菌が起炎菌かコンタミネーション(汚染)かを判定することができます。
広域スペクトル抗菌薬使用時の細菌培養実施率ファイルをダウンロード
広域スペクトルの抗菌薬が
処方された退院患者数(分母)
分母のうち、入院日以降抗菌薬処方日
までの間に細菌培養同定検査が
実施された患者数(分子)
広域スペクトル抗菌薬使用時の
細菌培養実施率
238 233 97.90
近年、多剤耐性アシネトバクター属菌や幅広い菌種に効果を有するカルバペネム系抗菌薬に耐性のある腸内細菌科細菌など、新たな抗菌薬耐性菌が出現し、難治症例が増加していることが世界的な問題となっています。 不適切な抗菌薬の使用は、耐性菌の発生や蔓延の原因になることから、各医療機関において抗菌薬適正使用支援チーム(Antimicrobial Stewardship Team: AST)を組織するなど、抗菌薬適正使用を推進する取り組みが求められます。抗菌薬適正使用の鍵を握るのは正確な微生物学的診断であり、抗菌薬投与前の適切な検体採取と培養検査が必要です。
更新履歴
R6.9.27
公表