サル痘について
2022.07.27
サル痘とは?
画像出典:サル痘とは (niid.go.jp) <国立感染症研究所>
サル痘は、1970年にザイール(現在のコンゴ民主共和国)でヒトでの初めの感染が確認された感染症で、国内では感染症法上の4類感染症(保健所への報告が必要なもの)に指定されています。アフリカに生息するリスなどの齧歯類(げっしるい)をはじめ、サルやウサギなどウイルスを保有する動物との接触によりヒトに感染するとされています。
病原体は、ポックスウイルス科オルソポックスウイルス属のサル痘ウイルス。コンゴ盆地型(クレード1)と西アフリカ型(クレード2及び3)の2系統に分類され、コンゴ盆地型(クレード1)による感染例の死亡率は10%程度であるのに対し、西アフリカ型(クレード2及び3)による感染例の死亡例は1%程度です。ただし、先進国における死亡例は現時点では報告がありません。
2022年5月以降、従前のサル痘流行国への海外渡航歴のないサル痘患者が欧州、米国等での報告を受け、2022年7月23日には、WHO(世界保健機関)より「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言。また、日本国内においても2022年7月25日に東京都で感染者(欧州渡航歴あり)が確認されています。
懸念される人から人への感染としては、感染者との接近した対面での飛沫への長時間の曝露、感染者が使用した寝具等との接触等により感染するとされており、空気感染を起こした事例は現時点においては確認されていません。
もしサル痘に感染したら・・・
感染してからの潜伏期間は、通常7~14日(最大5~21日)で、以下のような症状が出現します。
- 発熱、頭痛、リンパ節腫脹などの症状が0~5日程度持続し、発熱1-3日後に発疹が出現。
- リンパ節腫脹は顎下、頸部、鼠径部に見られる。
- 皮疹は顔面や四肢に多く出現し、徐々に隆起して水疱、膿疱、痂皮となる。
※2022年5月以降の欧米を中心とした流行では、以下のような、従来の報告とは異なる臨床徴候が指摘されています。
- 発熱やリンパ節腫脹などの前駆症状が見られない場合があること
- 病変が局所(会陰部、肛門周囲や口腔など)に集中しており、全身性の発疹が見られない場合があること
- 異なる段階の皮疹が同時に見られる場合があること
画像出典:サル痘とは (niid.go.jp) <国立感染症研究所>
上記のような症状が出現した場合には、かかりつけ医もしくは近隣の医療機関へご相談ください。
サル痘の診断方法は?
水疱や膿疱の内容液や蓋、あるいは組織を用いたPCR検査による遺伝子の検出することで診断を行いますが、現時点における治療法としてはなく、対症療法のみとなります。
サル痘に感染しないためには?
「新型コロナウイルス感染症」のように爆発的な感染拡大が起きていくものではないとされますことから、「新型コロナウイルス感染症」に対する標準予防策(①3密(密閉・密集・密接)を避ける②マスクを着用する③こまめな手洗い)をお願いしていますが、基本的に同じ予防策を講じることで防ぐことができる感染症です。
もし家族が感染したら・・・?
発熱、皮疹がありサル痘が疑われる場合、マスク着用を行い、咳エチケットを守り、手指衛生を行うよう心がけてください。また、感染者が使用したリネン類(寝具等)から感染したという報告から、使用したリネン類(寝具等)や衣類は手袋などを着用して直接的な接触を避け、密閉できる袋に入れて洗濯などを行い、その後手洗いを行ってください。